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執筆者の写真芹澤 知

良いお年を。

大掃除もひと段落して、今年はお世話になっている方々に年賀状も出しました。

たまにはブログを更新してみようと思います。


2020年大変な状況の中、有り難いことに無事

初コミックス『グレープフルーツムーン』を出版して頂けました。

貴重な経験をさせて頂き、とても思い出深い一年になりました。

この本の出版に関わってくださった皆様、読者の皆様に心から感謝申し上げます。

発売から暫く経ちますが、お手紙などで感想や応援を頂けて、以前よりもっと

私の中で大切な作品になりました。


この作品は毎日お仕事や何かを頑張る人に向けた作品です。

読み切りが始まった当初、私自身別のお仕事をしながらの執筆で毎日クタクタで、

さらに身近な人たちもひどく疲れていて、

通勤電車は疲れ切った人やヒリヒリしている人ばかりだし…

だったら何か癒しになる作品を、そんなところから始まりました。


漫画は基本エンタメですから、学ぶものがあったとしても教科書ではないと思います。

読者さんにとって作品は束の間、現実逃避できる場所であってほしいと常々思っています。


そんな思いで身近な人に世間話をする感覚を大事に描きはじめました。

井戸端会議(?)といえば商店街、疲れに効くのは甘い物ということで

街のケーキ屋さんを舞台にしました。

壮大な設定や難しい話は一切無く、作中に悪人は一人もいません。

エロ描写もなければ受け攻めもはっきり提示してません。

肉体関係の結びつき以上に大切なものが二人の間にはあるので

この作品には必要ありませんでした。

軽くて薄っぺら、と感じる人がいたら、それも正解だと思います。

現代劇ではありますが、ある種のファンタジーであり、

綺麗な嘘であることが最も重要でした。

主人公の香月は好きなものを「好き」と言い、好きな人を「好き」と真っ直ぐ言います。

それは現実では簡単なようでとても難しく、大人になるにつれて諦めてしまいがちです。

少し先の未来は、彼らが住む世界のように誰もが心から何かを「好き」と言える

優しい世の中であってほしいな、という願いを込めました。

本来のBLらしくはなかったかもしれませんが、

自由に描かせてくれた担当さんにも感謝しております。


『ゆっくりケーキを食べながらお茶でも飲んでってよ』そんな本なので

日々の生活の中で、息抜きしたい時にまたページを捲ってもらえたら嬉しいです。

本当に2020年お疲れ様でした。



新連載『秘め婿』も最終話までネームが終わり、あとは仕上げるだけとなりました。

執筆前から最中まで、本当に色々ある作品だったので、無事ここまでこれて本当に良かったです…。初詣必ず行こ…。

扱っているテーマが大きいので、

人間とは、生きるとは、信仰とは?どうやったら面白さが伝わるか、

そんなことを毎日考えてキャラクターを追い続けました。

食う・寝る・描くの単調な日々ですが、お手紙に何度も元気をいただきました。

お手紙の本文はもちろんですが、作品に合った封筒や便せん、シールなど…どれも貴重な時間を使って送ってくださり本当にありがとうございます。

来年は引き続き『秘め婿』の配信がありますので、二人の行く末を見守っていただけると嬉しいです。


2021年は少しでも穏やかな世で、みなさまに幸多からんことを。

どうか健康でいてください。


良いお年を。


12月30日 芹澤知


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